寺本 茂 弐段(大石道場職員)
〜2009年2月15日取得〜

 


 押忍、2009年2月15日に静岡市の北部体育館にて行われました全日本極真連合会の公認審査会において審査をして頂きました結果、弐段への昇段を許されました事を皆様にご報告申し上げます。
 自分は1999年4月2日に極真会館大石道場・静岡竜南道場に入門させて頂きました、入門のきっかけとなったのは竜南道場の責任者であります海野 孝先生の30人組手を目の前で見てその時に感じた気迫、 強さその場の雰囲気から「この人から空手を学んでみたい」と、思ったからでした。
 入門してからは今まで自分がこんなに夢中になる事があったかと思う程、空手の稽古にのめりこみました、時には「あーもう暫く稽古はやりたくないな、身体もあちこち痛いしちょっと休もうかな」と思う事も何度もありました、しかし、稽古の中で大山倍達総裁の残したお言葉や大石代悟師範からの教えや数々の経験談を海野先生は、まるで自分達の心の迷いや悩みを見通していらっしゃるかのごとく言葉でのご指導をして下さいました、ただ号令に合わせて身体を動かすだけの稽古だったら続かなかったと思います、 そして、2004年8月8日に初段となり指導員として稽古を重ねてまいりました。
 大石代悟主席師範から「黒帯になっても最低3年間は修行を続けること、初段の「初」とは、はじまりを意味する、黒帯になった時が本当のスタートなのだよ。」と言うお言葉を聞き自分なりに考え毎週水曜日の少年部の稽古指導を中心に月〜金の稽古指導を手伝わせて頂きました、3年で終ってしまったら最低までにしかならぬと思い続けました、少年部との稽古の中で、相手を思いやる優しさと信念が無ければその人を成長させる事も変化に気付く事も出来ない、と言う事や「指導は一方通行でいい自分がこれだけ教えているのになぜ出来ないのだと言ってしまったら指導で無くなる。」と言った師範や先生の教えも実体験させていただく事が出来ました。
 そして、第2回目の公認審査会の後で自分も次の公認審査会で昇段の機会を頂きました、それからは 日々の稽古に対しての気持ちもより一層引き締めました。
   審査の日を迎える前に一つ大きな出来事がありましたそれはある日、大石代悟主席師範より「海野先生の育てた黒帯の中で誰か浜松に指導に行ける者はいないか。」と言うお話が自分のところに来ました。突然の事でしたので自分も少し戸惑いました、ですがいつまでも海野先生と言う傘の下にいてよいのだろうかと言う考えもありました、そしてそれまでの仕事を辞めて大石道場の職員となる事を決め空手一本の生活をする決意をしました、大石代悟主席師範の命を受け浜松の道場を指導して回る事となりました。
審査に向けての練習では、大石師範より沼津総本部道場の少年部選手稽古も時々指導を任され皆と一緒にした稽古では特に基礎体力の自信が付きました、もう一つ大きな自信を付ける事が出来たのは海野先生が指揮を取り他の先生や黒帯、有志の道場生に集まって頂き審査会当日を想定した稽古に参加させて頂けた事でした。
  審査を受けるにあたって身体のトレーニングの他に心構えとして自分が指導する立場である事をあらためて自覚し審査に臨む姿を後輩達や父兄、これから空手を始めようと思う人たちが見て「この人の指導ならば空手をやってみたい、こうゆう黒帯がいる道場ならば信用できる」と感じて貰えるようでなければならない、それは自分の先生を見てそう感じたからであり、大石道場の職員としてこれからは今まで以上に気を引き締める必要が有ると思ったからです。
 審査会当日は自分が審査を受けるという緊張感よりも会場に来ていた見学者や関係者の方々から出ている緊張感の方が強く感じました。 それもそのはず今日は大石道場を代表する先生方と他支部より来られた師範、先生方も審査に臨んでいらっしゃるからでありました。
大石代悟主席師範の指揮により準備運動、基本、型、補強と行い審査会は進んで行きました。 途中基本稽古の中では大石主席師範による技の説明があり、改めて基本技に対して奥の深さを感じさせられました。 型の審査では気持ちが入りすぎ失敗もしました。 自分の持っている実力以上の事をやろうとすれば失敗するのも当たり前でありこの時、大石師範の「一つの失敗、挫折が反省につながり反省が成長につながる、だから決して失敗や挫折を恐れない。」と言う教えを思い出し審査会も稽古の一つであり、他人との強い弱い上手い下手を競い合う場ではなく自己の身体を鍛え、心を磨く修行の場であると言う事に改めて気付かされました。
組手の審査では自分の中の弱かった部分がどれだけ強く成長したのかを知る事が出来ると思い対戦相手の方に胸を借りるつもりで臨みました、これは審査の後で感じた事ですが(その時は考えている余裕はありませんでした。)二十人を完遂しようと思うがあまりか体力の無さか、全力を出せなくなったり相手から感じる雰囲気に臆したりした、しかしそうなった時に「これではだめだ、当たって砕けろじゃなかったのか!」と思い直し技を繰り出す事が出来るようになった、この事が今まで師の教えを信じて稽古を積重ねて来た成果なのだと思いました、それからもう一つ相手がダメージを受け動きが止まったとき、これは試合ではないここで畳み込む必要も無いだろうと思い仕切りなおしが出来るようになった事、甘いと思われるかもしれないがこれも心の成長なのだと思います。
自分の二十人組手が終った後は師範、先生方の連続組手を見ることが出来ました。 途中四十一人目から、四十五人目までの対戦相手をさせて頂きました。 師である海野先生と向かい合ったとき目の前に立っている先生を見て、全身が赤紫色になり傷だらけでまるでストーブのような熱気が伝わってくるのを感じました。 しかし先生は、「何をしている・・・遠慮せずにかかって来なさい・・・」と言った感じで構え自分に組手の指導をしてくれたように思いました。
 審査が一通り終わり長い一日でしたが審査会での経験、体験をこれからに活かして行こうと思います。 師範、先生から教わった事を自分の物と出来るように怠らず日々稽古を積み、ただ伝える者から教える者になって行く事が師への恩返しだと思います。 大山総裁の「一つの技は十万回一つの型は三千回やれば人から教わったものも自分の物になる。」と言う言葉を信じてこれからも努力精進して参ります。
最後に、大石代悟主席師範はじめ関係各位の皆様、見学応援に駆けつけてくれた道場生、父兄の皆様にお礼申し上げます、ありがとうございました。

押 忍